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保健所で7年間経験を積んだ心理士のブログです。実際に現場で働いて多くの親子でに関わる中で学んだことを元に、少しでも育児が楽しく楽になれるようなアイデアを、ブログを通して発信していきたいと思ってます。

子供のメディア依存とどう向き合うか ②

前回は子供がメディア依存に陥ってしまう原因について書かせていただきました。

 

今日は実際にメディア依存をどうしたら克服できるか、という話をしていきたいと思います。

まずメディア依存は年齢が低ければ低い程、改善しやすいです。(小さいほど心が柔軟なため)

思春期になっても克服は可能ですが、小さい子と比較すると、やはり時間がかかるし一筋縄ではいかない場合もありますが可能です。

しかし本気で克服を考える場合は、親も長期的に根気強く向き合うなど、それなりの覚悟が必要になってくるかと思われます。

 

メディア依存やゲーム依存の直し方

 

第一段階

親も子供が夢中になっているメディアやゲームを一緒に楽しむ

 

前回、一切のゲームやメディアを取り上げることはかえって逆効果であるということを書きました。心のエネルギーが確保できるものを、ゲームやメディア以外に広げていくためにはその子の興味を否定せず一緒にその世界を共有したいという思いを示すことが大切であると思います。

子供は自分の興味あることに関心を持ってもらえるとすごく喜びます。

自分の嗜好を受け入れてもらえたという喜びが、最初の段階の心のエネルギーになります。

一緒にそのメディアやゲームを楽しんだり、それに関する話を意識的にしていく中で、どんどん今まで以上に話もしてくれるようになると思います。

この段階で「この時間までね」といったら、素直に応じてくれるようになることも実は沢山あるます。年齢が低ければ特にそうです。

 

第二段階

「楽しいね」「おもしろいね」といった感情を言葉にして、思いを共有するように意識してみる

 

ゲームを一緒にしたり、メディアを一緒に楽しむ中で、重要なのは、ゲームやメディアを一緒にやることで「これはたのしかったね」「うれしかったね」「くやしいね「今のはかなしいね」などといった感情体験を親子で共有するために、親が口に出して伝えることです。

依存症に陥っているという時は、情動的にも感情的にも飢餓を感じているとも言えます。

なので、ゲームやメディアの一場面を見て一緒に大笑いするようなことが、本当は1番心の栄養になるのです。

ゲームでしたら、一緒にやって共に感じた達成感を言葉にして表現するのもいいと思います。

 

第三段階

ゲームの世界やメディアの世界をアナログの世界で共有しようとする

 

次の段階は、実際にメディアやゲームの楽しみをアナログの楽しみに変換させて一緒に楽しむ事です。これは結構手間に感じると思われますが、とても大切なプロセスなので、ぜひ色々と試して見てください

年齢が低ければ

ポケモンの図鑑を絵で描いて一緒に作ったり

イクラだったら、実際にポーションを絵の具で色水を作ってみたり

ゲームのグッズのをお店屋さんごっこで売ってみたり

年齢が思春期だったら

実際にそのメディアをまねしてYouTube配信の真似事をしてみたり(あくまでも例です)

その子によって、何がヒットするか分かりませんが、この思いを形にして遊ぶ遊びを一緒にすることが、その子の大きな心のエネルギーになるのです。

こういった関わりを意識して行っていくと、本当にその子が求めていたものはゲームやメデイア単体でなく、自分が好きなものを通した他者との心の交流や、自分が能動的に動いて成し遂げる達成感であったということが実感できるのではないかと思われます。

 

第三段階まで行く事ができれば、そこから徐々にゲームやメディアよりも楽しい交流や、できごとが他にあるということ子供自身が知り、心のエネルギー源を新たに確保できるようになっているはずです。

その段階まで来て、自然にゲームやメディアと付き合いがコントロールできるようになれば何よりですが、あまり目にみえて改善が見られないときは、この時に初めて真剣に向き合って、その子のことをすごく大切に思っている事を強調した上で「これぐらいコントロールした方がいいと思ってる」など、守ってほしいと親御さんが考える約束事について話をします。

その頃にはおそらく「親が自分の楽しみを理解してくれようとした」という無意識の喜びから、以前と違って本人も努力して改善しようという意識になるはずです。

いま述べたことは、正直実践が難しいと感じるのではないかと思いますが、こうやって再び違った形で手をかけることが、必ずその子の心エネルギーとなるのではないかと思われます。

場合によってはとても時間がかかる可能性もありますが決して焦らず。

その子を理解したいという真剣な思いで寄り添う覚悟を持った時、今までときっと少しずつ変わるものが見えてくるかと思います。

一番大切なことは月並みの表現になってしまいますが

親子の関わりの中で心を満たす

それこそが子供が一番求めてやまないことであると思います。